──あのあとすぐ、あたしたちはこの森に着いた。
銀月さんたち、もののけたちが住む森。
総司のお父さんの故郷だ。
気を失ったままの総司に、とりあえずあたしの血を飲ませると、翌日に目を覚ました。
人間の体に限界がきているということ、完全な狼のもののけになれば助かるということを聞いた総司は、銀月さんに質問した。
『完全な狼って、どうやってなるんだ?完全な人間にはなれないのか?』
銀月さんは落ち着いて答えた。
『特殊な妖術で、頭領の魂から、人として生きてきた記憶を切り離します。純粋なもののけの魂となれば、体も純粋な狼になれる』
そんな……人として生きてきた記憶をなくしてしまうってことは、新撰組やあたしのことも全部忘れちゃうってこと?
不安になるあたしの肩を抱いたまま、総司は冷静に聞き返す。
『反対の事をして、純粋な人間にはなれないのか』
『……できるかもしれませんが、その場合、結局そのお体は長くはもたないでしょう』
狼の体となっても、最初は弱っているだろうと銀月さんは推測する。
しかし、もののけは人間とは比べ物にならない生命力と寿命を持っている。
だから狼となって養生すれば、生き延びられるということだ。



