幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「でも、戦が始まるかもしれないのに……」


あたしの気持ちを総司が代弁すると、それまで黙っていた平助くんが口を開く。


「もののけとの連絡なら、俺もできるよ。
総司、近藤さんが心配だろ?一緒に行っておいでよ」


もちろん平助くんは油小路で死んだことになっているので、普段は白い子狐の姿で、斉藤先生の肩に乗っていることが多い。


それはそれは可愛くて、思わず平助くんだってことを忘れて頬ずりしそうになり、何度総司に止められたことか。

って、そんなことを思い出してほのぼのしてる場合じゃない。


「総司……」


彼は迷っているみたいだった。

大好きな近藤局長の護衛として大阪に下るか、戦のために伏見に残り、土方副長と共に戦うか。


「……それに、こんなこと言いたくねえけどよ。お前、最近顔色が悪いぜ。
咳も出てるし、油小路で倒れたばかりじゃねえか。
近藤さんと一緒に、少し養生してこい」


「それは」

「戦に出たいんなら、体調を万全にしてこい。じゃなきゃ足手まといになるだけだ」

「……っ……!」


厳しい言葉の裏には、副長の総司を心配している気持ちが見え隠れしていた。


けれど、足手まといと言われた総司は、悔しそうな顔でのどを詰まらせる。