慶応4年3月
鬱蒼と茂る森の中。
樹齢何百年だろうというような大木の木の根の籠で、総司は横になっていた。
窮屈だと言っていた洋装は脱ぎ、着なれた着物で顔を上げる。
どうやら、足音だけであたしが近づいたことがわかったみたい。
「総司っ、ご飯だよ!ほら、美味しそうでしょ?」
「……コレ、食えるのか?」
総司はあたしが差し出した焼きキノコを見て、頬を引きつらせる。
串刺しにしたキノコは、まだ湯気が出てて美味しそうなのに……なんでそんなこと言うかな。
「忘れてるかもしれないけど、あたしの両親は薬師だったんだよ。
薬草だけじゃなく、食べられる草やキノコのことだってバッチリ教えてもらってるんだから!」
「何年前の話だよ……お前の記憶、あてになるのか?」
「失礼な!キノコは白くなきゃまず大丈夫だって!」
「……その発言で、不安倍増したぞ」
総司は注意深く、キノコのにおいをふんふんと嗅いだ。



