幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「じゃあ、どうすればいいの?」


『完全な狼のもののけになっていただければ、もののけの寿命が手に入ります。
しかし、ここではできない。我らの森へ来ていただかなければ』


もののけの世界でなければできない、特殊な妖術か何かを使うのかな。


「それ以前に、総司の意志を確認すべきなんじゃないの?完全な狼になるなんて……」


平助くんが遠慮がちに口をはさんだ。

それはそうだ。

人狼であることだって嫌っているのに、完全な狼になるなんて、総司が簡単に承諾するはずない。

けど、このままじゃ命が……。


「楓……」


不意に、総司の口が、弱弱しくあたしの名を呼んだ。


「ここにいるよ、総司。ねえ、聞こえる?」


手をぎゅっと握ると、総司は深く息をつき、それ以上は話さなかった。


「総司……大丈夫だよ。離れたりしないよ」


総司もきっと、心細いんだ。


あたしは彼の手をにぎる力を強める。