幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「銀月さん!銀月さん!」


倒れた総司の体を抱きしめ、天井に向かって叫ぶ。

すると、その天井がぐにゃりと歪んだように見え、次の瞬間には、目の前に巨大な灰色の狼が現れた。


「うわっ、びっくりした!」


突然現れた銀月さんに、平助くんは驚いて尻餅をついた。


「銀月さん、総司が……総司が、急に血を吐いて……!」


動悸が早くなり、うまく説明ができない。

けれど銀月さんは、倒れた総司の様子を見て、何が起きたか察してくれたみたい。


『鳥羽伏見で、かなりの無理をされましたから……人間の体に、ついに限界が訪れようとしているのかもしれません』


「限界が……」


『何度もご忠告申し上げている通り、人間でありなお人であろうとすれば、お体に負担がかかるのは必死。

楓様の血がいかに優れた薬であっても、頭領の長年の負担をすべて消し去ることは、やはりできないのでしょう』


銀月さんは悲痛な声でそう述べる。