幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「喀血……!まさか、また体に負担が?」


この前総司があたしの血を飲んだのは、鳥羽伏見の直前だったから……2か月くらい前だ。

けっこう最近なのに、もう効き目が切れてしまったの?量が足りなかった?


「平助くん、どこでもいいから切って!血を飲ませなきゃ!」

「えっ?そんな急に言われても!」

「いいから早く!今、苦無しか持ってないの。お願い」


それを聞くと、平助くんは気が進まない表情で、腰に差していた脇差を抜いた。

けれど……。


「は、ぁ……あ……」


どさり。


平助くんがあたしに傷をつけるより早く、総司は音を立てて畳に倒れ込んでしまった。

咳は止まったけど、意識も遠くなってしまっているみたい。

苦しそうに薄く空いた瞳が焦点を失い、ゆっくり閉じられていく。


「総司!」

「総司、総司!しっかりして!総司、聞こえてるっ!?」


どんなに呼びかけても返事がない。

血で汚れた口元を見ると、このまま総司の息が止まってしまうような気がして、ぶるりと背が震えた。

どうしよう。こんなとき頼りになるのは……。