「どうして護衛を4人しかつけなかったんですか?普段は20人くらいいるのに」
あたしが詰問すると、総司が慌てて手で口をふさいでくる。
局長は幕臣になってから、外ではいつも馬に乗り、護衛を20人くらい引きつれて移動していた。
「近藤先生が、戦を前にしてあまり大勢の護衛を連れていては、臆病者に見られるからと自分で少ない人数を指定したんだ。土方さんのせいじゃない」
そんな……またそんな武士の意地のことを言われたって。
死んだり怪我したりしたら、そんな矜持、意味がないのに。
「いや、総司。俺の手落ちだ。御陵衛士の残党に注意しろと言っておきながら、近藤さんを説得できなかった」
「土方さん……」
眉根を寄せる副長の苦渋に満ちた顔。
そうだよね、副長だって責任を感じて、苦しんでいるに違いないのに……。
あたしは彼を責めるようなことを言ってしまった自分を恥じた。
「近藤さんは養生のために、下阪してもらおうと思ってる。大阪には松本先生がいるからな」
「おお。松本先生が診てくれるなら、安心だな」
原田先生は皆を励ますように、わざと明るい声を出しているようだった。
「そこでだ、総司。お前も一緒に、大阪に行ってこい」
「えっ?」
突然の命令に、総司は寝耳に水といった表情で目をぱちくりする。
「松本先生は義理の父親だろ。先日の祝言の報告と、近藤さんの護衛を兼ねて、楓と一緒に行ってこい」
え、あたしも?
そりゃあ、松本先生にはすごくお世話になっているし、会いたい気持ちもあるけれど。



