斉藤先生の式神で、上様が無事に寛永寺に入ったことを知ったあたしたちは、日が暮れるのを待って潜入することにした。
外は新撰組隊士に任せ、建物の中にいる幕臣に見つからないよう、上様がいる部屋を目指す。
襖のすぐそばにいた見張りを吹き矢で眠らせると、あたしたちはそっと部屋に入った。
「お前たち……なぜ」
上様は驚いた顔をしていた。
目の下のクマが濃く、不精髭がぽつぽつと生えている。
「上様、なぜ謹慎などなされるのですか。このままでは、旧幕府軍の士気にかかわります」
総司が刀を置いて座り、単刀直入に要件をきりだす。
あたしも慌てて隣に座ると、上様は目も合わせずにうつむいてしまった。
「私はもう、戦をする気はない」
戦をする気はないって……まだ新撰組みたいに、徳川のために戦うつもりの人たちがいるのに。
「では、このままで良いのですか?朝敵の汚名を着せられたままで」
総司が詰め寄る。
「まだ、上様の兵は上様のために戦う気があるのです。
どうか、直接指揮をおとりください」
必死に説得しようとするけれど、上様は首を横にふる。



