幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「平助くんの不安ももっともだと思うけど、局長がいてくれたら、みんな心強くなるし……がんばろうね」

「ん~……楓に言われちゃ断れないか!」


やっと平助くんが笑ってくれて、場がなごんだ、そのとき。

隣の広間から、廊下に人が流れて行く足音がした。

どうやら、今日の集会は終わったみたい。


「お前ら、ちょっと」


副長の声がすると、すっとふすまが開いた。


「実は近日中に、上様が江戸城を出て上野の寛永寺移られることになった。
その際の警護を申しつけられたんだが……」

「えっ、城を出るんですか?」


あたしたちは立ち上がり、局長の前に座りなおす。

副長も座り直し、じっとあたしと総司を見つめた。

すると、局長が口を開く。


「上様は寛永寺に謹慎し、朝廷に刃向かう気がない意志を現すおつもりだ。
総司、楓くん、なんとか上様のところへもぐりこめないか」

「えっ?」


もぐりこむって……なんで?


「直接話をしたこともあるし、我らのなかでは一番上様と親しいだろう?」


いや……そりゃあ、上様の顔も見たことのない他の隊士に比べれば、多少打ち解けている…。かな?


親しいとか仲がいいって言葉とは、ほど遠いと思うけど……。