幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



ばらばらになって宙に浮いていた手足が、次々に地面にできた血の海に落ちる。


「ひでえ……」

「本物の鬼だ……」


残った10名ほどの敵が、無残な姿となった味方の血の海から後ずさる。


「鬼でけっこう。中途半端なもののけのお前たちより、よっぽどマシだ」


にやりと笑った副長は、刀をかまえなおす。

しかし、その肩はいつもより激しく上下していた。

きっとさっきの攻撃で、莫大な力を使ってしまったんだ……。


「土方さん、もう霊力を使うのはやめておけ。
あんたは明日、また指揮官として働かなきゃならない。
今ムリをすれば、明日動けなくなるぞ」


刀を持った敵をあらかた片付けて、原田先生が叫んだ。


「土方さん……近藤先生がいない今、新撰組をまとめられるのはあなたしかいない」


総司に腕をつかまれると、副長はそれを振り払った。


「わかってる……けど、今はどうしてもこいつらを斬らなきゃおさまらねえ」


ぎり、と副長は愛刀の柄をにぎりしめた。


厳しいその顔が見ているのは、憎い敵の姿なんだろうか。

それとも、近代兵器の前に散っていった仲間たちの姿なのか。