幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「ウソだろ?」


斬りかかってくる敵で手いっぱいの原田先生が、信じられないといった顔で叫ぶ。

敵は斬られても斬られても、もののけの鱗と体力のせいで、何度も立ち上がってくる。


「味方も敵も一緒に撃つつもりなの?」


旧式の武器より狙いがつけやすくなったとはいえ、この距離で撃ったら、味方に当たっちゃうかもしれないのに……。

銃声は容赦なく、連続して聞こえた。


総司や平助くんは素早く身を翻し、原田先生は敵の体を盾にして、弾から逃れた。

あたしの足元にも弾丸がやってきて、すんでのところで飛び退く。

夜で弾道も見えやしないし、どうすればいいの?


突然のことに、冷汗が背中を流れていくと、弾丸を詰め替えるためか、敵の銃声が一瞬止んだ。

そのとき……。


「もののけのくせに、鉄砲なんか使ってんじゃねえよ……」


あたしたちの背後から、地面を踏む音と、ガラの悪い江戸弁が聞こえた。

ハッとそちらを振り向くと、そこにいたのは……。


「俺は機嫌が悪ぃんだ」


浅葱色の羽織をまとい、漆のような髪を風になびかせた、土方副長だった。