「やだよ、総司。そんなこと言わないでってば!置いていかないで……!」
今まではどこにだってついていけたけど、あの世ばかりはさすがに無理だよ。
「大丈夫じゃないよ!総司がいなきゃ、あたし……」
大丈夫なんかじゃない。
あたしはもともと、強くないんだ。
総司がいたから、いつだって前を向いていられた。
二本の足で歩いていられた。
総司がいたから、たくさん笑って、たくさん泣いた。
生きていられたんだよ。
「……楓……」
「総司、総司……!」
ぎゅっと抱きつくと、総司はゆっくりとあたしの髪をなでてくれる。
まだ温かい総司の胸に顔をうずめて泣くと、総司は苦笑したようにふっと息を吐いた。
「ほんとにお前は……可愛いったら、ねえ、なあ……」
小さく消えゆく声。
ハッと顔を上げると、総司の手が力なく地面に落ちた。
「総司……?」
閉じられたまぶた。
整然と並んだ長いまつげは、もう微塵も揺れることはなかった。



