幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「あたしじゃ、総司の生きる意味になれないの?」


発作が治まったのか、はあはあと息を整えながら、総司がこちらを見上げた。


「勝手に死ぬ覚悟なんかしないで。あたしを置いていかないでよ」

「楓……」

「ねえ。わかる?」


あたしは総司の手を引き、自らのお腹に当てる。


「ここに、新しい夢があるんだよ」

「……は……?」

「あたしたちの赤ちゃんが、いるの」


ゆっくりあたしの言葉を飲み込んだ総司は、やや遅れて、閉じかけていた目を見開く。


「本当か?」

「うん」

「子がいるのか」

「そう」

「ばっかやろ……なんでそれを早く言わねえんだよ……」


総司は空いている方の手で、目元をぬぐった。


泣いているのか、日差しがまぶしかったのか、それはよくわからなかった。


「だから、死んじゃだめ」


「おう……一気に死にたくなくなったわ……」


「でしょう?」