「戦は……どうなった?」
函館のあちこちから砲声が聞こえ、何がどうなっているかなんてわからない。
すると、槐がすっと遠くを指さす。
「あっちが弁天台場だ」
言われてそちらを振り返る。
当然、台場の様子はわかるはずもなかったけれど、そちらの方角からもくもくと煙が上がっているのが見えた。
「あ……」
台場の上空に、何かが舞い上がる。
突然強く吹いた風に煽られ、赤い何かがひらひらと空を舞い、こちらに漂って来た。
それは風が止むと、力なくあたしたちの上に降りてくる。
四隅を黒く焦がされ、ぼろぼろにされたそれを拾い上げると、涙がこみ上げた。
それは、赤字に白く『誠』の文字が染め抜かれた、新撰組の旗だった。
ぼろぼろのそれが、奮闘の末新政府軍に敗れ去っていく新撰組の命運を現しているような気がする。
「降伏、か……」
総司は力なくその旗の隅をにぎり、つぶやく。



