人気のない雑木林の中に入り、小次郎が総司の体を地上に横たえる。
真っ赤に染まった浅葱の羽織を取り外すと、傷口を縛ってくれた。
「医者に見せなきゃ」
「と言っても、函館は新政府軍だらけだ。俺が行って、呼んできてやる」
槐と最低限の会話を交わし、小次郎は素早く林の中を駆け抜けていった。
「う……」
総司の顔が歪み、閉じられていたまぶたがうっすらと開く。
「総司!」
傍らに膝をついて手をにぎると、総司はゆっくりと口を開いた。
「楓……怪我、大丈夫か……?」
「……バカ!あんたの方が重症じゃない!」
「はは、本当だな……」
少し笑っただけでお腹の傷に響いたのか、総司は一層苦しそうに眉間にシワを寄せた。
「もうすぐお医者様が来るよ。それまでがんばって」
はあはあと、荒い息を繰り返す。
そんな総司のお腹の傷に巻かれた布が、みるみるうちに赤く染まっていく。



