「とにかく、止血をしなきゃ」
「ああ……」
耳には、いつの間にか戦いの物音が響き始めていた。
結界の中では時間の流れが遅かったのか、一本木関門になだれ込んでくる新政府軍と味方との戦いが始まったばかりのようだった。
「馬を……指揮をとらなければ……」
「総司、それより止血!」
「バカ、戦場で休んでいられるか!」
総司は怒鳴ると、ふらつく体で馬に近づいた。
馬は結界の外に出て興奮してしまったようで、なかなかいうことを聞かない。
そうこうしている間にも、敵の銃弾がこちらに雨のように降ってくる。
「総司、あぶな──」
一際高い銃声がした。
反射的に、体が手綱を引っ張っていた総司の前に出る。
「か……」
肩に、熱く焼けるような痛みを覚えた。
衝撃で、体が後方に吹っ飛ぶ。
「楓!」
倒れる前に、総司がその腕で、あたしを支えてくれた。
総司の顔が目の前に迫って、それがわかった。



