どっとものすごい音がして、朧の体が吹っ飛ぶ。
それは地面に落下し、跳ね上がって、転がって止まった。
その途端に、周りの景色が元に戻っていく。
まるで半透明の幕が、燃やされて溶けていくみたいに。
結界が破れた……ということは、朧が……。
地面に突っ伏した朧の背は、もう微塵も上下していなかった。
「あ、総司!」
そうだ、人狼を元に戻すのがあたしの仕事だった!
あたしは慌てて懐から護符を取りだす。
それを持って抱きつくと、総司の体から、獣のにおいが消えていった。
良かった、すんなり人間に戻れて。
安心すると、総司の体がふらりと傾いた。
反射的に支えると、総司は荒い息をしてこちらを見て笑う。
「仇は……取ったぜ」
手のひらが、湿って濡れる。
どうやら、呪符や弾丸にやられた傷からの出血がまだ止まっていないみたい。
「うん。ちゃんと見届けたよ」
総司が守れなかった人々のために、仇をうったこと。
だからって彼らが帰って来るわけじゃないけれど、総司の気持ちは少しは軽くなった?



