「こんなもんじゃ、俺の魂まで傷つけることはできねえ!」
総司は傷だらけの背をそらし、天に叫び声を上げる。
すると……。
「そんな!」
普通の人間であるはずの『土方歳三』の体が、徐々にきしみ始める。
震える手から長い爪が、漆黒の髪の間から、銀色の尖った耳が、背後から尻尾が現れる。
「まさか狼化!?」
今は朝。月は見えない。
けれど総司は、板橋での戦闘のときと同じように、自分の意志で体を人狼に作り変えてしまった。
人狼の魂が、そんなことを可能にしたんだろうか。
考える暇もなく、総司は地を蹴った。
朧は慌てて突き出された爪を避けて地を転がり、自らが捨てた小銃を構える。
連続で発砲する。弾丸が総司の頬や腕をかすめる。
それでもひるまない総司は、まるで風をまとったような速さで、朧の間合いに飛び込んだ。
「ぐ、あ……っ!」
総司が朧の胸を片手の爪でえぐる。
そして。
「があぁぁあう!」
力任せに握った剣を逆手に持ち直し、朧の胸に一息に突き刺した。



