幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



絶叫と共に、朧の手から大量の呪符が投げつけられる。


総司は再び風をまとい、それを迎え撃つ。


けれど呪符は怒りで力が増したようで、少しずつ風の壁を破っていく。


呪術や結界を操ることに長けている朧。


局長と副長を殺されたことで、いつしかあたしたちは彼をとても強大な敵のように感じていた。


けれど、朧だって悩んで苦しんでいた、ただの一人の人間だったんだ……。


純血なのに、炎の幻影が使えない。


そのことは周りにも奇異の目で見られただろうし、ときには責められたり、バカにされることもあっただろう。


そんな朧の怒りと悲しみを、総司は真正面から受け止める。


とうとう何枚かの呪符が、風の壁を突き破った。


「総司!」


彼の目の前で手裏剣に姿を変えた呪符たちが、総司の軍服を切り裂く。


それは体のあちこちをかすめたようだ。


血が飛び散り、地面に点の模様を描く。


「お前の怒りはこんなもんかよ……!」


総司は苦しそうに息をする。


やっぱり、呪符はただ刃に変わるだけじゃなく、呪いを込めてあったみたい。