幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「総司!」


銃に刀じゃ、やっぱり不利だ。


苦無をにぎる手に力を込める。けれど……。


「そんなもん、怖くねえんだよ!」


総司の周りに、突然つむじ風が巻き起こった。


土方副長が操っていた、風の力だ。


立ち込めていた硝煙のにおいが、風に散らされていく。


「霊力を燃やしているのか」


朧はそうつぶやき、新しい弾丸を銃に込めた。


そして、また一発発砲する。


しかしその弾丸は、風の壁に巻き込まれ、やがて地上にぽとりと落ちた。


「ちっ……」


「どうした、朧。お前は陽炎のような幻影は使わないのか?あの紫色の炎は」


舌打ちした朧に、総司が訪ねた。


そういえば、朧は見た目は純血の忍なのに、陽炎が操っていた炎の幻術を使おうとしない。


何故だろう?


銃をかまえたままの朧の顔が、憎悪の表情を浮かべて歪む。