幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



鋭い斬撃は止むことなく、朧に降り注ぐ。


とうとう避けきれなくなったのか、朧は小銃でその切っ先を受け止めた。


けれど総司は、力でそれを押し切る。刀の腹が、朧の腕に食い込んだと思われた。けれど……。


「ちっ!」


総司が舌打ちをする。


刃に裂かれた朧の黒い忍装束の間に、鈍く灰色に光る何かが見えた。


朧は腕の角度を変えると刃を滑らせ、総司から距離をとる。


「南蛮鉄でできた手甲だ。これはそんななまくら刀には斬れんぞ」


むき出しになった朧の腕には、たしかに鉄でできた鎧のような手甲が。


あんなものをつけて、あんなに速く動いていたなんて。


驚く暇もなく、朧は銃口を総司に向け、躊躇なく引き金を引く。


鋭い銃声が結界内に響き、白い煙が上がる。


総司はその弾丸を、刀で撃ち払った。


しかし間髪入れず、朧は次々に総司に向かって銃を連射する。


その何発かがこめかみの髪をかすめ、腰に巻いた浅葱の羽織に穴を開けた。