「教えてやる義理はねえな」
総司は質問に答える気はないらしく、馬から降りて抜き身を手に走りだす。
「覚悟しろ!朧ぉぉぉぉっ!」
至近距離まで迫る。刀を振り下ろす。
朧は紙一重でそれを避け、懐から小銃を取りだした。
「まだそんなモノで戦っているのか」
「簡単に人を殺せる近代兵器は、大嫌いでな!」
右へ左へ、剣をなぎ払う。
朧はかがみ、飛んで、それを避け続けた。
総司が剣を振るうたび、空間が裂けるような音がする。
「楓、お前は手を出すんじゃねえぞ。こいつは俺が殺る!」
近藤局長や土方副長の仇を、自分で取りたいということだろう。
援護しようと懐から苦無を取りだしたけど、あたしはそのまま固まってしまうほかなかった。
言われなくても、憎き仇に鬼の形相で突っ込んでいく総司と朧の間に、入る隙間なんて一寸もない。
どうか、勝って……。
あたしにできるのは、祈ることだけだった。



