五稜郭政府が設けた、一本木関門だ。
その向こうから、見覚えのある軍服の兵士たちが駆け寄ってきた。
「味方だ!」
たしか、伝習隊だっけ?とにかく、こっちがわの人間であることは間違いない。
「なにごとだ」
銃を抱えた兵士たちは、総司に向かって切れ切れの息で説明する。
「は、函館山からの攻撃がすさまじく……」
早い話、敵と戦って敵わないと思い、退却してきたという。
「退却は許さねえ。俺たちが来たんだ。大丈夫だ。怪我をして動けない者以外は、もう一度進軍しろ!」
函館山の方向から、かすかに敵の足音が聞こえ始めている。
命令に躊躇する兵士たちが、少し後ずさった。
すると、総司は馬上で、腰に差していた刀を抜く。
土方さんの愛刀だった、和泉守兼定が、日の光を受けてきらりと光った。
「退却するものは、この俺が斬り捨てる!行くぞ!俺たちの新しい国を守り抜け!」
俺たちの新しい国。
それは、旧幕府軍が正義である、あたしたちの理想の国。
慶喜公や近藤局長が賊軍の汚名を着せられることのない世界だ。



