「ああ……!」
とうとう五稜郭が、敵の手に落ちていこうとしている。
「怯むな!ほら、あれを見ろ!」
動揺しそうになった兵士たちに、総司が大声を飛ばす。
総司が指さす先には、日の光を浴びてきらきらと輝く水面。
そこに、たくさんの軍艦が並んでいた。
激しい砲戦の音が響き、そのなかの一隻が、砲撃の炎に包まれたまま、波の中に沈んでいく。
「あれは……朝陽?」
と、書いてあるように見える。
「そうだ、敵艦朝陽だ」
「おお……!」
敵艦が撃沈していく様子を目の当たりにし、兵士たちに勢いが戻る。
「行くぞ!!」
総司が一喝すると、馬はまた疾走しはじめた。
不安を振り払うように、兵士たちも馬を走らせ、総司のあとに続く。
やがて、弁天台場へ向かう途中の関所で、総司は馬を止めた。



