幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「ああ……!」


とうとう五稜郭が、敵の手に落ちていこうとしている。


「怯むな!ほら、あれを見ろ!」


動揺しそうになった兵士たちに、総司が大声を飛ばす。


総司が指さす先には、日の光を浴びてきらきらと輝く水面。


そこに、たくさんの軍艦が並んでいた。


激しい砲戦の音が響き、そのなかの一隻が、砲撃の炎に包まれたまま、波の中に沈んでいく。


「あれは……朝陽?」


と、書いてあるように見える。


「そうだ、敵艦朝陽だ」


「おお……!」


敵艦が撃沈していく様子を目の当たりにし、兵士たちに勢いが戻る。


「行くぞ!!」


総司が一喝すると、馬はまた疾走しはじめた。


不安を振り払うように、兵士たちも馬を走らせ、総司のあとに続く。


やがて、弁天台場へ向かう途中の関所で、総司は馬を止めた。