幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



五稜郭の表門が見えてきて、ふうと息をつく。


気持ち悪いと思ってたら、つわりだったのか……。


あのあと内診を受け、やっぱりあたしは妊娠しているということがわかった。


体調不良の理由ははっきりしたけど、困ったなあ。


できるようなことをした、自分が悪いんだけどさ。


じわ、と目じりに涙がにじんだ。


不安で、おかしくなってしまいそう。


顔を隠しながら早く部屋に帰ろうと五稜郭の中心にある奉行所庁舎の中を急ぐと、不意に総司の声が聞こえた気がした。


立ち止まると、いつもえらい人たちが会議をしている部屋から、言いあいみたいな声が聞こえてくる。


「どうしたんだろう……」


いけないと思いつつ、あたしは周りに誰もいないことを確認し、部屋の壁に耳をぴっとくっつけた。


「降伏とはどういうことだ、榎本さん」


総司の声だ。


降伏って……まさか、五稜郭政府が新政府に降伏しようとしているの?