幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「ええと……あれ?」


いつだっけ。思い出せない。


男どもと一緒に戦場に出る身としては、そんなものない方が都合が良かったから、あまり気にしていなかった。


でも、なんでそんなこと聞くんだろう?


ぼんやりしていると、槐が頬を紅潮させ、少し興奮したみたいな表情であたしの肩をつかむ。


「楓、あんた……」

「な、なに?」

「妊娠してるんじゃないか?」


に……に……人参?


あたし、そんな赤い野菜じゃないけど……。


「……内診してみないとわからないけれど、おめでたの可能性が高そうですな」


では、とお医者様はお湯をわかすと言って部屋を出ていってしまった。


おめでた……にんしん……。


「まさか!」


この腹の中に、赤ん坊がいるってこと?そんなバカな!


そりゃあ、総司とはその可能性があることを全くしないわけじゃない。


とくに冬の間は戦闘がなかったおかげで、わりと夫婦らしく仲良くしていたけど……。