幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「それにしても、左之さんが伝令なんて珍しいね。山崎さんはどうしたの?」


走りながら平助くんがたずねると、原田先生は眉根を寄せて、こちらを少しだけ振り返った。


「山崎監察は……さっき、敵の銃弾に倒れた。今は治療中だ」

「えっ!」


そんな……山崎監察が……。


「土方さんの命令で援軍を呼びに行ったんだが、その途中で撃たれた。なんとか帰ってきて、自分を撃ったのは半分もののけの姿をしていたと残して、気を失っちまった」


それで、みんなが敵の進軍を知ることができたということか。


「監察……」


監察は戦にはなくてはならない人なのに。


彼ほどの人が撃たれるなんて……きっと昼間も走り回ってクタクタだったんだろう。


「山崎さんに頼ってた分も、俺らが働かなきゃね!」


平助くんが、あたしを励ますように背を叩いた。


「そうだ。敵は、俺たちが必ず食い止める」

「……うん!」


返事をすると、全員の速度が増す。


仲間たちのため、あたしたちは一心に戦場を駆け抜けた。