「それにしても、左之さんが伝令なんて珍しいね。山崎さんはどうしたの?」
走りながら平助くんがたずねると、原田先生は眉根を寄せて、こちらを少しだけ振り返った。
「山崎監察は……さっき、敵の銃弾に倒れた。今は治療中だ」
「えっ!」
そんな……山崎監察が……。
「土方さんの命令で援軍を呼びに行ったんだが、その途中で撃たれた。なんとか帰ってきて、自分を撃ったのは半分もののけの姿をしていたと残して、気を失っちまった」
それで、みんなが敵の進軍を知ることができたということか。
「監察……」
監察は戦にはなくてはならない人なのに。
彼ほどの人が撃たれるなんて……きっと昼間も走り回ってクタクタだったんだろう。
「山崎さんに頼ってた分も、俺らが働かなきゃね!」
平助くんが、あたしを励ますように背を叩いた。
「そうだ。敵は、俺たちが必ず食い止める」
「……うん!」
返事をすると、全員の速度が増す。
仲間たちのため、あたしたちは一心に戦場を駆け抜けた。



