幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



しかし……。


戦闘がひと段落したとき、悪い知らせがもたらされた。


松前も木古内も兵力増強した新政府軍に落とされ、五稜郭へ退却してしまったという。


「そんなあ!あたしたちは勝ってたのに!」


大鳥さんも榎本さんも何をしてるんだか!


……と、総司が風の力を使ったことは棚に上げて味方を責めても仕方ない。


「このままじゃ、ここだけ挟み撃ちにされちまう。仕方ねえ……退却だ」


総司は兵士たちに退却命令を出す。


その背中は冷静で淡々としているようだけど、本当は悔しくて仕方ないに違いない。


だって、勝っているのに退却しなきゃならないなんて。


武士のこの人にとって、どれだけの無念だろう。


あたしはまた、胸が苦しくなるのを感じた。


こうして旧幕府軍はすべての防衛拠点を捨てて、五稜郭へ集結。


4月中には、函館以外の蝦夷地は、新政府軍に征圧されてしまった。


もう、あとがない……。


五稜郭には、旧幕府軍の滅亡を予感した不穏な空気が立ち込めていた。