幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「土方奉行、京での武勇伝を聞かせてください」

「有名な池田屋事件の話を」


お酒を飲んでご機嫌になった兵士たちが、笑顔で総司を囲む。


「池田屋か」


総司はこちらをちらりと見て、目を細める。


あのときは桝屋の蔵を破るために色仕掛けしたり、総司に噛みつかれたり、色々あったなあ……。


すごく大変な毎日だったけど、今思えばあのときが、新撰組にとっては一番良い時代だった気がする。


総司もそう思っているのか、懐かしい京の時代の話を、兵士たちにして笑っていた。


そうしていると、京でみんなで楽しく過ごした日々を思い出す。


今はもう会えない、山南先生や平助くん、山崎監察。近藤局長に土方副長。


どうしているのかわからない、斉藤先生、原田先生、永倉先生。


ああ、みんなが元気だった頃はわからなかった。


仲間が、こんなにかけがえのない存在だったなんて。