幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「楓、手伝ってくれないか」


翌日の夜、あたしは偵察から帰ってきた総司に呼び出された。


先日の戦の疲れがとれなくて、体中がだるい。


けど、二股口で守備を続ける仲間の前で、弱音を吐くわけにはいかなかった。


「なあに~?」

「これ、敵陣からぶんどってきたんだ。みんなに配るから、手伝ってくれ」


そういう総司は珍しく笑顔で、その傍らには台車に乗せられた酒樽が。


「すごい。みんな喜ぶよ」


早速本陣にいたみんなを土間に集める。


「皆の者、先日の戦はご苦労だった。俺からの差し入れだ。どんどん飲んでくれ」


酒樽を見た兵士から、歓声が上がる。


戦場でお酒なんか飲めると思わないもんね。


「……と言っても、まだ戦の最中だからな。軍規を乱さぬよう、一人一杯とする」


「じゅうぶんです!」


「ありがとうございます、土方奉行!」


兵士たちは皆笑顔で、それぞれの桝やお茶碗を持ち、行儀よく樽の前に並ぶ。


あたしは総司と共に、彼らにお酒を汲む手伝いをした。