幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「はは……びっくりして、遠くの海に……逃げたみたいだよ……。
自分の住処を……荒らされたくなかった……だけなんだね……」


「海坊主も……同様です」


そうか、あのもののけたちは、敵側についていたわけじゃなかったんだ。


二人はなるべく傷をつけず、彼らを追い払ったみたいだった。


「しっかりして」


止血しようとするけど、銃弾に貫かれた傷からは、とめどなく血が溢れだす。


「もののけの時代は……終わりました。もうほとんどの狼が……」


「すまねえ、銀月。俺が……俺が不甲斐なかったばかりに」


「謝らないで……ください。
我が誇り高き一族は、後悔など……していないのですから」


狼が……ほとんどいなくなってしまった……。


鳥羽伏見以前から、徐々に数が減っているとは聞いていたけど。


まさか、この国から狼がいなくなってしまう日が来るなんて。


「総司……ごめんな。最後まで、俺も新撰組の一員として、お前と戦いたかったけど……」


「平助!」


平助くんは、口からごぼりと血を吐く。