幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



放心しているような、総司の目。


二人とも、総司を助けてくれたの?


その身を挺してまで……。


「総司っ、退却しよう!二人を連れて!」


こんなところで犬死にするわけにはいかない。


あと一歩だった。


悔しいけれど、あんな機関銃があってはどうにもできない。


「くそおぉぉぉっ!」


総司は叫ぶと、二人を両腕で抱え込んだ。


あたしは柱から縄をほどき、銃弾の雨の中を駆け抜ける。


手早く体どうしを縛りつけると、回天から投げられた縄と鉤爪でそれを繋いだ。


そうして、なんとか甲鉄から退避したあたしたちは、甲板に二人を降ろし、誰も近づかないように命じた。


「しっかりしろ、二人とも!」


総司が叫ぶ。


「……安心しろよ……人魚はしばらく、おとなしく……してると思う。
人間に……あんな武器があるって……思わなかったんじゃ、ない?」


「平助、もういい。休め」