『頭領だ!頭領が帰ってきた!』
『我らの故郷を守るため、戦え!』
人間の言葉を話せる力の強いもののけの声も響く。
そこで総司が一際高く月に向かって吠えると、もののけたちはいっせいに川の中へ向かっていった。
水辺のもののけたちは、平助くんの作った柵の間から手をのばし、なんとかそれを破壊しようとしているようだった。
その体を鋭い牙や爪で引き裂く味方のもののけたち。その筆頭に、銀月さんがいた。
言葉にならない悲鳴が上がり、川が黒く染まっていく。
「楓、総司を戻してあげないと」
「あっ、そうか」
平助くんに言われ、今にももののけの群れに突進しようとしていた総司の背中に護符を貼りつける。
指揮官が理性を失っちゃ、意味がないもんね。
「うっ……はあ……」
短時間で狼から人間に戻った総司は、頭を振って息を整えた。
「しばらく様子を見よう」
総司がそう言った途端、街の方から足音が近づいてきた。
「おーい、総司!平助!」
「左之さん?」
平助くんが言ったとおり、近づいてくるのは原田先生だった。



