幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「総……土方奉行!」


そうしているうちにも、回天から次々に味方が乗り移り、甲鉄の乗組員に斬りかかる。


敵は突然の奇襲に驚いているみたい。


総司は鬼のような速さで、次々に敵を斬り伏せている。


しかし。


──ぐわり。


大きく、甲鉄の船体が揺れた。


同時に、接舷した回天の軸先が揺れる。


「うわーっ!」


乗り移ろうとしていた兵士たちが、海に落ちた。


まだ残っていた味方も、こっちに来られなくなってしまう。


縁に捕まって下を見ると、波の中から人魚の群れが顔を出していた。


少ない髪の毛がへばりついた顔にはぎょろりとした目と、細かい牙が並んだ、裂けた口が。


「ぎゃあああ!」


気持ち悪い~!

群れになると、いっそう気持ち悪い~!


『出て行け……』

『我らの住処から出て行け!』


波の間から、そんな声が聞こえてきた。