「総……土方奉行!」
そうしているうちにも、回天から次々に味方が乗り移り、甲鉄の乗組員に斬りかかる。
敵は突然の奇襲に驚いているみたい。
総司は鬼のような速さで、次々に敵を斬り伏せている。
しかし。
──ぐわり。
大きく、甲鉄の船体が揺れた。
同時に、接舷した回天の軸先が揺れる。
「うわーっ!」
乗り移ろうとしていた兵士たちが、海に落ちた。
まだ残っていた味方も、こっちに来られなくなってしまう。
縁に捕まって下を見ると、波の中から人魚の群れが顔を出していた。
少ない髪の毛がへばりついた顔にはぎょろりとした目と、細かい牙が並んだ、裂けた口が。
「ぎゃあああ!」
気持ち悪い~!
群れになると、いっそう気持ち悪い~!
『出て行け……』
『我らの住処から出て行け!』
波の間から、そんな声が聞こえてきた。



