「お前は池田屋のことを忘れたのか?」
「あ……」
「命を無駄にしろと言っているんじゃねえ。
けれど、武士にはやらなきゃならねえときってのがあるんだよ」
池田屋の時。
あのとき、隊を二つに割っていたせいで、あたしたち近藤隊はわずかに6人で、池田屋に突入したんだっけ。
怯んで浪士たちを取り逃がせば、京が火の海になってしまう。
京の人々を守るため、あのとき突入しなければならなかったんだ。
甲鉄を奪うことができれば、旧幕府軍が蝦夷の制海権を得ることができる。
そうすれば、蝦夷は独立を保ち、旧幕臣たちはこのまま生き延びられる……。
「う~~~、わかったよ、やるしかないんでしょ!」
「そういうこと。怖かったら隠れてろ」
「やだね!」
「意地っ張り」
総司はぽんとあたしの背中を叩くと、兵士たちに声をかけていく。



