幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「お前は池田屋のことを忘れたのか?」


「あ……」


「命を無駄にしろと言っているんじゃねえ。
けれど、武士にはやらなきゃならねえときってのがあるんだよ」


池田屋の時。


あのとき、隊を二つに割っていたせいで、あたしたち近藤隊はわずかに6人で、池田屋に突入したんだっけ。


怯んで浪士たちを取り逃がせば、京が火の海になってしまう。


京の人々を守るため、あのとき突入しなければならなかったんだ。


甲鉄を奪うことができれば、旧幕府軍が蝦夷の制海権を得ることができる。


そうすれば、蝦夷は独立を保ち、旧幕臣たちはこのまま生き延びられる……。


「う~~~、わかったよ、やるしかないんでしょ!」


「そういうこと。怖かったら隠れてろ」


「やだね!」


「意地っ張り」


総司はぽんとあたしの背中を叩くと、兵士たちに声をかけていく。