幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「は、早かったんだね」


「ああ、どうするかすぐに決まった」


総司は自分の上着を脱ぎ、あたしにかけてくれる。


「帰る?帰る?ねえ、帰るんだよね?」


「帰りてえんだな。残念だが、作戦は続行だ」


「ええ~そんなあ!」


あきらかにがっかりしたあたしの髪を、総司がてぬぐいで手荒くふきながら続ける。


「甲鉄を奪うのも、もののけと決着をつけるのも、早い方がいい」


「そうだろうけど、せめて朝まで待とうよ。
朝になればもののけの力は弱まるし、蟠龍も合流できるかも……」


「アホ。夜の間に近づかなきゃ、すぐに俺たちの船だって見破られちまうだろ」


そ、それもそうか。


甲板の上に出て行こうとする総司を追っていくと、途中で甲賀さんに出会った。


偉い人特有の髭はなく、髪も短くさっぱりとした人だ。


「土方さん、今高雄から連絡があった。機関が故障したそうだ」


「なんですって」


甲賀さんは眉をひそめ、うなるように言った。