幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「ぎゃあ!」


ずぶ濡れになっちゃったよ~!


視界を邪魔する前髪をかけ分けていると、総司の声がした。


「あれは……もののけか!?」


え?今、なんとおっしゃいました?


なんだか懐かしい言葉を聞いたような……。


海の上に顔を向けなおす。


すると、暗い波の中に二つ、ぼんやりと光るものがあった。


あれは……目?


そして、ばしゃばしゃと跳ねる、巨大な魚の尾ビレのようなもの。


それは群れとなって、回天の周りを移動していた。


「もしや、人魚?」


尾が水に入っているとき、ときどき、白い手のようなものが見える。


「母さんが言っていた。人魚が海に出ると、波が荒れるって……」


「人魚?銀月の話じゃ、海のもののけたちは戦いから手を引いたはずじゃなかったのか?」


「そうだけど……はぐれ者なのかな?」


「くそ!団結しとけっつうんだよ!」