幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「あ、あの、すみませ~ん。
わたくし、土方陸軍奉行並の使いの者ですが……」


ロシア人って言ってたけど、果たして言葉は通じるのか?


少し不安になりながら、あたしは屋敷の中に声をかけた。


すると……。


「はい、お待たせいたしました」


中から、着物を着た女の人が姿を現す。


白い西洋風の前掛けをした、日本人だ。


ほっとした瞬間、お辞儀をしたその人が顔を上げた。


「……あ!?」


「あんた……楓?なんでこんなところに?」


「槐!あんたこそなんで!?」


髪を束ねておでこを全開にしたその顔は、間違いなく槐のものだった。


「一族から離れようと思って、いっそ蝦夷にでも行くかってなってさ。
運よくここの主人に拾われて、住み込みで働かせてもらってるんだよ」


槐が言うには、もちろん小次郎も子供も一緒で、交代で面倒を見ながら、働いているらしい。


元忍の経験を活かし、たまに諜報活動なんかもしているそう。