冬の間は、蝦夷地の厳しい気候のため、敵味方共に戦闘の準備ができていなかった。
そのため、戦は一時休戦となり、あたしは毎日を穏やかに過ごしている。
もちろん総司は土方歳三として、軍議に参加しなくちゃいけないから、勉強や準備で忙しく、いつも夜遅くまで起きてがんばっていた。
「う~、寒いよ~……」
あたしは総司に頼まれ、土方軍の出資者である商人の家を訪ねることに。
その商人はロシア人で、函館との貿易で利益を得ているという。
『ある品物を頼んでいるから、受け取ってきてくれ』
って言われて手ぶらで来ちゃったけど、もしかして刀とか銃とか、重いものだったらどうしよう。
あたしは誰が着ていたかもわからないおさがりの軍服で、商人の家の玄関先に立った。
そこは西洋風の大きなお屋敷で、思わず口を開けて見上げてしまう。



