幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「沖田、悪いが俺は、会津に残る」


「えっ、斉藤先生一緒に行かないんですか?」


「ああ」


斉藤先生はきっぱりと言った。


腕組みをして、涼しい顔で、どっしりと座っている。


蝋燭の灯りに照らされた頬は、いつも通りの色をしていた。


「それでいいのか」


総司が聞くと、斉藤先生はいつものように淡々と答える。


「このまま会津に敵が流れ込んで来れば、藩民の血が流されることは必死。
敵は会津に強い恨みを持っている。
女子供も関係なく……いや、女は特にひどい目にあわされるだろう」


ぞく、と背筋が震えた。


敵兵に好きにされるくらいなら、誇り高い会津の女性たちは、自ら命を断つだろう。


けれど、そうして綺麗に死ぬことすら、許されないかもしれない。


「たとえ敗北が決まっていようとも、俺はそういった人たちを一人でも多く救いたい。
目の前の弱き者を守る。
それこそ俺が、京の時代から貫いてきた誠義だ」