幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



じっと、まっすぐに総司の目を見つめる容保様。


新撰組として京で活動していた頃は、容保様は近藤局長しか会えない雲の上の人で、こうしてお目にかかれるなんて思ってもみなかった。


けれど、どうだろう。

いざ目の前にしてみれば、ただの人でしかない。


「……承知いたしました」


総司はまぶたを伏せると、その場から退出した。

そのすぐ後を、あたしと斉藤先生が追う。


外はもう、日が暮れていた。


本陣の一室を借り、蝋燭を灯すと、総司は静かに口を開く。


「俺はすぐに、庄内へ向かう。お前はどうする、斉藤」


「……容保様は、もう覚悟されておられたな」


斉藤先生が深いため息と共に、言葉をこぼした。


「覚悟?」


って、なんの覚悟?


「あの方は、もう会津が落とされることを覚悟してんだろうってことだ。
だから俺に『逃げろ』という意味で、庄内への援軍を命じたんだろう」


えっ!

なんか長いこと見つめ合ってるなあと思ってたけど……そんな風に通じ合ってたの?