「まさか、藩境がたった一日で突破されちゃうなんて……」
がんばってくれた銀月さんたちに、申し訳ない……。
「新政府軍の砲撃の方角が、的確すぎたと思わないか」
総司の言葉に、斉藤先生がうなずく。
「ええ、確実に我らの台場を狙ってきていました。
藩の窮状とはいえ、増税に耐えられなかった藩民が手引きしたのかもしれません」
「そんな……」
たしかに会津藩は大変な状況で、藩民も我慢を重ねているとは聞いていたけれど。
まさか、自分の藩の人を窮地に陥れるなんて。
「ただの推測だ。ところで楓、その格好では容保様に拝謁することはできんぞ」
「え?」
斉藤先生の顔を見かえすと、彼は一瞬あたしの胸元に視線を落とした。
そしてすっと顔を背ける。
胸……あっ!そういえば、銀月さんにさらしをあげちゃったんだった。
代わりが欲しいところだけど、今は敗走中。
包帯や布も不足していて、さらしくださいなんて言えない。
あたしは腕で胸を隠しながら、総司の背後を歩くことにした。



