幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



母成峠を突破された味方は、猪苗代城に進軍してきた敵と衝突。


しかし、必死の抗戦にも関わらず、結局会津若松へ撤退することに。


そこで、土方隊は他の隊と合流することになった。


敗走する味方の中に見覚えのある顔を見つけ、あたしは思わず声を上げる。


「あっ、斉藤先生!」

「楓。と、沖……いや、土方局長」


久しぶりに会った斉藤先生は、疲れ切った顔をしていた。


前髪が乱れ、顔や服が泥や返り血で汚れている。


「斉藤。無事だったか」


「はい。そちらはどうですか」


「どうもこうもねえよ」


戦闘の間に、新撰組隊士数名が砲弾に斃れたのは確認している。


けれど、会津藩士や他の隊にも死傷者が多すぎて、隊士の死ばかりを悼んでいる暇はなかった。


「このまま、本陣に向かうか」

「はい。容保様が心配です」


斉藤先生は、敬語での演技を崩さずにうなずいた。


本陣の滝沢にも、すぐに敵はなだれこんでくるだろう。