母成峠を突破された味方は、猪苗代城に進軍してきた敵と衝突。
しかし、必死の抗戦にも関わらず、結局会津若松へ撤退することに。
そこで、土方隊は他の隊と合流することになった。
敗走する味方の中に見覚えのある顔を見つけ、あたしは思わず声を上げる。
「あっ、斉藤先生!」
「楓。と、沖……いや、土方局長」
久しぶりに会った斉藤先生は、疲れ切った顔をしていた。
前髪が乱れ、顔や服が泥や返り血で汚れている。
「斉藤。無事だったか」
「はい。そちらはどうですか」
「どうもこうもねえよ」
戦闘の間に、新撰組隊士数名が砲弾に斃れたのは確認している。
けれど、会津藩士や他の隊にも死傷者が多すぎて、隊士の死ばかりを悼んでいる暇はなかった。
「このまま、本陣に向かうか」
「はい。容保様が心配です」
斉藤先生は、敬語での演技を崩さずにうなずいた。
本陣の滝沢にも、すぐに敵はなだれこんでくるだろう。



