幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「楓殿……」

「総司っ、あとでね!」

「いけません、楓殿」

「怪我人は……黙ってて!」


絶対失わないんだから。


死ぬ気になれば、なんとかなるはずだ!


「頼むぞ、楓!」


総司はそう言い残すと、戦の真ん中に駆けて行く。


あたしは反対方向へ、まだ敵がいない方へと銀月さんを背負って歩いた。


「楓殿……こんなところで離れては……いけません……」


「大丈夫、あの人目立つから。生きていたらすぐに会える!」


足を引きずるようにして、あたしはなんとか敵に見つからないような茂みに潜り込んだ。


横にした銀月さんの傷に手を当て、霊力を流し込む。


「ありがとう、銀月さん。大事な時、いつも総司を守ってくれて……」


絶対に助けてみせる。


もう、涙を流すのには飽きたんだ。


あたしは自分のさらしを力任せに引き抜くと、銀月さんの体に、包帯代わりに巻き付けた。


そして、お守り代わりに持っていた土方散薬を、牙の生えた口に流し込む。