幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



「ええ……彼らの奇襲作戦を……直前に察知しましてね……」


つまり、銀月さんたちは会津に向かってきていて、夜にもののけと同化した敵の奇襲から、味方を守ってくれたってこと?


「あの……憎き忍が……うまい具合に結界を張ってくれましたよ……」


「もういい、話すな!」


目の前に迫った敵を斬り伏せながら、総司が怒鳴った。


「あのおかげで……あなたたちを、巻き込まずに……。
もののけの戦いは、もののけどうしで……終えることが、できたようです」


「話すなっつってんだろ!早く戦場を離れろ!」


「残りのもののけも……もう……人間とは手を切り……海に、帰った……はず……」


「わかったから!逃げろ、銀月!」


総司の悲鳴のような声が響いた。


このままじゃ、銀月さんが力尽きてしまう。


あたしだって、そんなの嫌だ。


短い間だったけど、一緒に戦ってきたんだ。


困ったときはいつも助けてくれた。


「あたしが……行く!」


全力を振り絞り、重たい銀月さんの体を背中に背負う。


ひざにずしりと鉛を付けたようで、なかなか思うように動けなくてフラフラした。