幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



足元に、獣と化したもののけの遺体が迫る。


そのなかの一匹の狼が、あたしの視線を奪った。


「銀月さん!」


味方から離れ、そちらに走る。


灰色の体毛に、二股に別れた尾。


間違いない。ただの狼の大きさになってしまっているけれど、銀月さんだ。


「楓……殿……」

「銀月さん、しっかり!」


携帯していた水を飲ませると、銀月さんはうっすらと目を開けた。


「頭領の弔い合戦だと言って、進軍したのですが……申し訳ありません、お役に立てなかった」


総司の弔い合戦?


そうか、会津で総司の体が果ててしまったことを知って、もののけたちが戦に参加してくれたんだ。


「そんなことねえぜ。お前らがいなかったら、夜に俺たちは全滅させられていたんだろう?」


「総司!」


顔を上げると、味方が目の前まで押されてきていた。


なだれ込んでくる敵との乱闘の音が鳴り響き、そこらじゅうで悲鳴が上がる。