足元に、獣と化したもののけの遺体が迫る。
そのなかの一匹の狼が、あたしの視線を奪った。
「銀月さん!」
味方から離れ、そちらに走る。
灰色の体毛に、二股に別れた尾。
間違いない。ただの狼の大きさになってしまっているけれど、銀月さんだ。
「楓……殿……」
「銀月さん、しっかり!」
携帯していた水を飲ませると、銀月さんはうっすらと目を開けた。
「頭領の弔い合戦だと言って、進軍したのですが……申し訳ありません、お役に立てなかった」
総司の弔い合戦?
そうか、会津で総司の体が果ててしまったことを知って、もののけたちが戦に参加してくれたんだ。
「そんなことねえぜ。お前らがいなかったら、夜に俺たちは全滅させられていたんだろう?」
「総司!」
顔を上げると、味方が目の前まで押されてきていた。
なだれ込んでくる敵との乱闘の音が鳴り響き、そこらじゅうで悲鳴が上がる。



