幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



銀月さんによると、彼のような年寄りで力の強いもののけは昼でも活動できるけど、ほとんどのもののけは、夜しか本来の力が発揮できないという。


そういえば総司も、月を見なければ狼化しないんだっけ。


「そっか、やけに動けないと思ったんだよね」


少し疲れた顔で、平助くんがため息をついた。


「敵には相変わらず、あの半魚人のもののけがついてるんだろうな。
人間より、あいつらの動きを封じることがお前たちの仕事になるだろう。やってくれるか?」


副長は銀月さんではなく、総司を見つめる。

総司をもののけたちの指揮官として、信用してくれているということだろう。


「はい」


総司は副長を強く見つめ返し、うなずいた。


「楓、平助、お前らも総司について──」


──ドオオオオオオオオン!!


副長が言い終わる前、一際大きな着弾音が響いた。


「副長!副長……!」


隊士がばたばたと駆けこんできて、平助くんは慌てて狐の姿に戻る。


「どうした?」

「今の砲撃で、火がつきました……!どうか、退却命令を!」


そんな……とうとう火事が起こってしまったなんて。


「……そうか。仕方ねえ、ここは退却だ。別の幕軍と合流するぞ。山崎!」

「お呼びでしょうか」