慶応4年8月
長く苦しかった夏も、終わりに近づいていた。
土方さんが宇都宮城攻防戦で負った足の傷は、7月にやっと戦場に赴くことができるほどに回復。
少しの隊を率いて新政府軍を奇襲したり、会津の若殿・松平喜徳様が滞在している福良本陣に出張したりして、忙しい日々を過ごしていた。
戦は日増しに激しくなっている。
斉藤先生が奮闘した白河口が落とされ、二本松城が陥落され……迫りくる敵を迎え撃つため、あたしたちは猪苗代城下に移った。
「なんとかここまで生き延びたけど……」
他の場所で戦っている斉藤先生とはまだ合流できていない。
四方八方を敵に包囲されているから、仕方ないけど……。
「兵力が分散しすぎている。母成峠の防備が薄いな。ここから攻められることは明白だ」
土方さんの傍にいた頃に、戦の事を学んでいたという総司。
昔は土方さんの命令に従って動くだけだったのに、大したもんだ。
そしてその言葉通り、新政府軍は主力を母成峠に向けてきたのだった。
歩兵奉行の大鳥圭介さんや伝習隊と共に新撰組も母成峠に布陣することに。



