幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



何も知らなかった頃の乙女に戻ってしまったみたい。


かああと、頬に血が昇ってくるのがわかる。


「はは、緊張か……」


「ごめん、あたし、総司しか知らないから」


「いいよ、そう言う俺も……緊張してたから」


苦笑する顔は、少しはにかんでいるようで……土方さんは絶対にしないような表情だった。


そういえば、あたしを初めて抱いた日……総司も、すごく緊張するって言ってたっけ。


古い記憶を思い出し、懐かしくなる。


「じゃあ、少しずつ慣れような。俺も、お前も……」


総司はそう言って笑うと、それきり、あたしにムリに触るようなことはしなかった。


その笑顔は寂しそうじゃなくて、ホッとする。


そうだね、少しずつ慣れていこう。


大丈夫。


あたしたちの魂は、まだ……ううん、ずっと近くにいるんだから。