幕末オオカミ 第三部 夢想散華編



完璧な流線を描く、土方さんの二重瞼。


酷薄そうだと思っていた薄い唇が、あたしの唇を、静かに覆った。


合わせた胸が、ひっくり返りそうなほど、踊る。


けれど、唇はすぐに離れていった。


「……触れられるの、平気か?」


「へ、あ……」


「平気じゃなさそうな顔してる。当然だよな」


総司は口元は笑っていたけど、眉を下げ、一瞬寂しそうな顔をした。


「嫌じゃないよ」


「無理すんなよ。そばにいてくれるだけでじゅうぶんだから」


離れていこうとする総司の腕を、必死でつかむ。


そりゃあ、どっちが好きかと聞かれれば、総司の体の方が好きだったに決まってる。


けれど……。


「違うってば!あの、嫌じゃなくて……なんか、初めてのときみたいに、緊張しちゃって……」


「……は?」


「しょ、しょうがないじゃない。魂は総司だけど、手も唇も、全部初めての感触なんだもん」